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YouTubeに「3分でわかるボーリングのお仕事」の動画をアップしました

2020年05月23日

 YouTubeに、「3分でわかるボーリングのお仕事」の動画をアップしました。
 地質調査・調査ボーリングは、工事と違って身近に目にすることが多い仕事とは言えません。特に若い学生、生徒の皆さんには言葉で説明してもわかりにくい仕事です。
 また、今般の新型コロナウィルス感染症の影響で、会社説明会に参加しにくくなっています。そこで、地質調査、特にボーリングについて簡単にまとめた動画をアップしました。動画といっても写真中心ですが、言葉での説明よりも理解しやすいと思います。
 動画をご覧になって興味を持たれた方は、ホームページ採用情報の「お問い合わせフォーム」からご連絡ください。詳しい説明を、会社あるいはWeb上での説明会で行います。お気軽にご連絡ください。

動画のURL
https://www.youtube.com/channel/UCgM1s2eK1mJf6kT_xAB2lpw


温暖化について(3)温暖化議論をどう見るのか

2020年05月11日

 ICPP(気候変動に関する政府間パネル)第4次報告書では気候変化とその影響に関する観測結果について、次のようにまとめています。
・気候システムの温暖化には疑う余地がない。
・このことは、大気や海洋の平均温度の上昇、氷雪の広範囲にわたる融解、世界平均海面上昇が観測されていることから明白である。
と断定しています。そしてその原因について、
・その大部分が人間活動による温室効果ガスの増加によってもたらされた可能性が非常に高く、その大部分を二酸化炭素が占めている。
 私たちが肌で感じる現象、例えば今年の冬は記録的な暖冬で、こんなに雪の少ない冬は記憶にないとか、去年の夏も記録的な猛暑で、エアコンをつけっぱなしだった、などの感覚は確かにこの報告書を裏付けているように感じます。しかし、気象は常に異常なのであって毎年平年並みということはありません。ここはやはり世界的平均値で見るべきでしょう。そして、ICPPが発表しているグラフは確かにこの意見を裏付けています。

「あー、やっぱり地球は温暖化しているんだから何とかしなくちゃ」と思ってしまいますよね。
 一方でこのICPPの見解に真っ向から反対している人たちもいます。
 反対意見はおおむね次の3種類があるようです。
・ICPPのデータは裏付けにとぼしい。温暖化しているということ自体が疑問である。
・温暖化していることは事実だが、二酸化炭素の人為的排出が原因ではない。
・そもそも温暖化すること自体に問題はない。寒冷化と温暖化を比較すれば温暖化のほうが人類にとってはるかに有益である。
 温暖化のデータへの疑問について、高名な物理学者のフリーマン・ダイソン氏(アメリカ・プリンストン高等研究所)は次のように述べています。
「気候を理解したというのは、気候学者の思い上がりにすぎません。彼らが頼るコンピュータシミュレーションなど、変数をいじればどんな結果でも出せる代物ですからね。・・・私自身、科学の話ならたいてい多数意見に従いますが、ただ1つ、気候変動の話は違います。科学の目で見るとナンセンスそのものですから。」
「ホンマでっかTV」でおなじみの武田邦彦中部大学教授は「温暖化は良いことばかりで悪いことは少ない。たとえば食物の収穫、病気の打撃、住みやすさなど、当たり前のことだが、温暖化した方が良い。」と述べています。
 ICCPの見解もこれに反対する人たちの見解も、それぞれ根拠を持った意見であり、正直どちらの意見が正しいのか私のような素人は判断に苦しみます。とはいえ、現在いえるのは次のようなことではないでしょうか。


・数万年後という長期的なスパンで考えれば寒冷化のことも考慮しなければいけないが、当面は温暖化による被害のほうが大きいと考えられる。
・太陽活動の影響やミランコビッチサイクルは人為的にはどうにもならないものであり、人為的な温室効果ガスの排出量のコントロールだけが人間が対応できるものである。
・したがって、とりあえずの対策ではあるが、二酸化炭素削減は取り組むべき大きな課題である。
・しかし、一方で二酸化炭素の排出によってすぐにでも人類が滅亡するかのような見解は極論であり、議論の深化を妨げるものである。


 といういたって平凡な考え方が私の結論です。
 長期的に人間が地球の気候環境をコントロールすることはできません。温室効果ガス、二酸化炭素を削減すれば地球環境を守ることができるという考えは幻想にすぎず、むしろ問題を矮小化してしまう可能性すらあります。
 なお、ICPPの報告書は長くてわかりにくいので、国立環境研究所・地球環境センターの【ここが知りたい地球温暖化】のページをお勧めします。
www.cger.nies.go.jp/ja/library/qa/qa_index-j.html


温暖化について(2)氷河期についてのレビュー

2020年04月13日

 温暖化を考えるにあたって、地球の気候は過去どうであったのか、それに比べて現在はどうであるのかを知っておくことは重要です。そこで氷河時代について簡単にレビューしておきたいと思います。
 以下の図は、海底から得られたボーリングコアに含まれる有孔虫化石の酸素同位体18Oの比率の推移を表したグラフです。

 

                  神奈川県立生命の星・地球博物館「ワークテキスト+2℃の世界」より

  酸素は普通14Oですが、少量の同位体18Oがあり、寒冷化すると有孔虫に取り込まれる18Oの比率が高まることが知られています。つまり、このグラフでいうと、山の部分は気温が高く、谷の部分は気温が低いことを表しています。このグラフの山と谷はおよそ10万年間隔で表れており、過去100万年間のこの周期こそ氷期(寒い時期)と間氷期(暖かい時期)の周期を表しています。
 今からほぼ2万年前から急激に気温が上昇し、やや下がり始めているのが現在にあたります。これまでのグラフと比較すると、間氷期が終了し次の氷期に入りつつあるように見えます。(ただし、そのまま下がるのか、また持ち直すのかはまだわかりません)
 前回スノーボールアース仮説について書きましたが、これ以外にも地球は何度か長い寒冷期を経験していることが知られています。ところで氷河時代とは、南北極地の大陸氷床や高山の氷河が存在する時代のことを言います。その間には全く氷床や氷河のない時代があり、地球の全歴史ではこの温暖な時代のほうがはるかに長かったと考えられています。
 今わかっている氷河時代は以下のとおりです。


・ヒューロニアン氷河時代:24億年前から21億年前
・クライオジェニアン氷河時代:8.5億年前から6.3億年前
・アンデス‐サハラ(オルドビス紀)氷河時代:4.6億年前から4.3億年前
・カルー(ゴンドワナ)氷河時代:3.6億年前から2.6億年前
・新生代第四紀氷河時代:258万年前から現在


 私たちはこの最後の氷河時代に生きています。そして今は約12,000年前に始まった間氷期(完新世)にあたっています。
 現在の氷河時代(寒冷化)の原因については、様々な要因があげられていますが、中生代に存在したゴンドワナ大陸の分裂と大陸の再配置によって海水流が変化したこと、特に南極大陸が現在の位置に移動し、南極環流が生まれることにより冷たい深層海流循環が発生し、地球全体の寒冷化が起こったといわれています。また、パナマ地峡の形成による海流の変化、ヒマラヤ山脈の隆起による大気の流れの変化なども寒冷化の要因に上げられています。
   氷期‐間氷期のサイクルについてはミランコビッチサイクルがよく知られています。
 ユーゴスラビアの地球物理学者ミランコビッチは、地球の離心率の周期的変化、地軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動の組み合わせによって、日射量が周期的に変化し、これが氷期‐間氷期の周期を決めていると指摘しました。このミランコビッチが指摘したサイクルは、実際に酸素同位体比から得られる気候変動の周期とよく一致しています。
 さらにもう一つ、地球の気候に対する太陽活動の影響も指摘されています。太陽は9年から14年の周期で黒点の増減やフレアの発生を行っていることが知られています。つまり太陽の出す放射エネルギーが一定の周期で変化しており、この変化は当然地球の気候に影響を与えます。1645年から1715年には、マウンダー極小期と呼ばれる太陽活動の低下期があり、世界各地で寒冷化が起こりました。これは小氷期といわれています。
 ここまでのところをまとめてみましょう。
① 氷河時代は大陸の位置と海水流、大気の流れの変化、生物の働きも含めた二酸化炭素、酸素の比率の変化によって起こる。(超巨大火山噴火の影響も考えられています)
② 日射量の周期的変化と太陽活動に影響され、氷期と間氷期を繰り返す。
③ 本来であれば、現在は間氷期から氷期への移行期に入っている可能性が高い。
 それではこのような中で、今取りざたされている地球の温暖化議論をどのように見ていけばいいのでしょうか。次回以降取り上げていきます。


桜が咲きました

2020年04月10日

 4月6日に本社事務所の桜がほぼ満開になりました。例年より1週間ほど早いでしょうか。3本の桜は、現在地に事務所が移転したときに植樹したもので、27年になります。満開になると近くを歩く人が足を止めて眺めたり、写真を撮っていく方も見られます。
 この春は新型コロナウィルスの問題で世界中が大変なことになっています。宮城県でもすでに30人以上の感染者が出ていて、だいぶ身近なところまで迫ってきたと危機感を持っています。私たちの仕事は基本的に現場作業なので、いわゆる「3つの密」の条件には程遠いのですが、そろそろいろいろなところでの影響が出始めています。
 4月に予定していた安全講習会や、安全会議も延期になってしまいました。1日も早い収束を願うばかりです。


温暖化について(1) 歴史学としての地質学

2020年03月18日

 地球温暖化への取り組みや、SDGs(持続可能な開発目標)に代表される環境問題の重要性が強く言われる時代になってきました。中小企業である当社はなかなか取り組めていないのが実情ですが、一方で地質をメシのタネにしているため、地球環境問題について考える機会は多々あります。これについて今回は意見を述べてみたいと思います。なお、これは会社としての意見ではなく、代表熊谷の個人的な見解です。

 高校の地学の授業で、先生からおまけのように、プレートテクトニクスの話がありました。
「アメリカで考えられている理論で、太平洋がどんどん日本のほうに向かって動いているっつう説があるんだどや。プレートテクトニクスというんだどさ」
 で、クラスメートと話をしました。
「つーことは、そのうちハワイが日本さ来るんだべが?」
「んだ、そしたら岩手県さくっついで、岩手の面積増えんでねえが」
「それよりか、本場のハワイが岩手県さ来るんだっちゃ。福島の常磐ハワイアンセンターより観光客がいっぱい来たりして・・・」

 1970年代の岩手県の少年の意見です。
 時が流れ、地質の勉強を多少するようになって、そんなことがないことはわかりましたが、「プレートテクトニクス理論」のインパクトはとても大きいものでした。
 プレートテクトニクス理論は地質学の革命であり、まさにパラダイムの転換です。そして何よりも、この理論によって、これまで闇のかなたにあった地球の歴史が相当程度明らかになってきました。
平朝彦先生の「日本列島の誕生」や、丸山茂徳先生の「生命と地球の歴史」を読んだ時の「地質学によってここまで地球の歴史はわかってきたのか」という新鮮な感動は忘れられません。これらの本はプレートテクトニクス理論を応用することで書かれていました。
 元日本地質学会会長の木村学先生は次のように書いています。
「歴史学とは、過去において起きた事件、特にその前と後に大きな変化を及ぼすような事件に注目し、その原因を探る学問と定義すれば、まさに地球の歴史を探る地質学は、歴史学そのものといえます。」(木村学著「地質学の自然観」より)
 地質学誕生のもとは、例えばなぜそこに山があるのか、なぜ山の上に貝や魚の化石があるのかといった疑問を解こうとするものでした。アルプスやヒマラヤの高い山の上になぜ海の生き物の化石があるのか、昔はそれを聖書にあるノアの大洪水によって運ばれたものだと考えた人もいたそうです。それが「洪積世」すなわち洪水で堆積した時代、という言葉として残っています。
 私が高校の地学で学んだのは「地向斜造山論」というものでした。日本列島も昔から今の位置にあり、堆積や沈降、火山活動が繰り返し起こって今の日本列島になったという考え方です。プレートテクトニクス理論は、そうした考えを打ち破り、ダイナミックなプレートの水平移動によって現在の地球の形が生まれたと説いたのです。
 プレートテクトニクス理論によって大陸の成因が明らかになっただけでなく、古地磁気学、年代測定法、微化石分析技術などと組み合せることで、過去の地球の環境がどのようなものだったのかが、徐々に明らかになってきています。それは、地球環境の変動がこれまで考えられてきたものよりもはるかに大きいというものでした。そうした例としてよく知られているものに「スノーボールアース仮説(全地球凍結仮説)」があります。

 約24億年前から21億年前と、8.5億年前から6.3億年前の2回(3回という説もあるようです)地球表面全体が氷におおわれていたという仮説で、現在地球史研究者の間で主流になりつつある考えです。
 寒冷化の流れはこうです。
・大陸の成長により、二酸化炭素が炭酸塩鉱物として取り込まれたことと、酸素排出生物(シアノバクテリア-酸素発生型光合成をおこなう細菌などの微生物)の活動によって、大気中の二酸化炭素が減少した。
・温室効果の減少により地球全体が寒冷化し、極地から氷床が発達した。
・氷床が太陽光を反射し、太陽からの熱の吸収が少なくなり一層寒冷化が進んだ。
・寒冷化がますます加速し、氷床が全地球を覆い、1億年から2億年ほど続いた。
・深海底や地表の火山活動は残り、大気中に二酸化炭素が少しずつ排出された。海面や地表が氷に覆われているため、二酸化炭素が吸収されず二酸化炭素濃度が徐々に高まっていった。
・温室効果により急激に気温が上昇した。
・地表の氷が解けた。
 この全地球凍結により、当時の生物(といっても原始的な単細胞生物ですが)大量に絶滅するとともに、解凍後には新たな生物が登場したと考えられています。24億年前の全地球凍結後に酸素呼吸する真核生物の繁栄が始まり、6億年前の全地球凍結後は、エディアカラ生物群という大型生物の出現が起きたと考えられています。
 地質学が明らかにした地球の歴史は、それまでの想像以上に大きく地球は変化してきたというものだったのです。


            

          エディアカラ生物群の想像図(第一学習社「生物」より)