4月になりました。3月が例年になく暖かく、4月初旬には事務所の桜が満開になりました。
今年は新入社員が、大卒1名、高卒1名、計2名入社しました。今は期待と緊張が半々といったところでしょうか。早く会社と仕事に慣れていってもらいたいと願っています。
当社では今年の新社員の入社を含めて徐々に世代交代が進んでいますが、建設業、建設関連業全体を見ると高齢化が進行し、業界全体としても危機意識をもって対策を進めています。i-Constructionはその代表的取り組みです。労働者の減少への対応と働きやすい労働環境を作り、若い世代の人たちに入ってきてもらおうというものです。そして、同時に進められているのがハラスメント対策です。
世の中がもはやパワハラ、セクハラ、マタハラ等々のハラスメントを認めない流れになっているから、というだけではありません。建設業、建設関連業ではパワハラが多い、というイメージがあると思います。また、イメージだけでなく実際に多かったのです。その理由としてあげられるのが次のような特徴です。
①危険な作業が多い。
「今の動きを止めないと危ない」➡大きな声になる➡カッとしてしまう➡その勢いでパワハラになる。
②現場が閉鎖的でチェックが入りにくく、パワハラの温床になる。
③男社会で、体育会のノリで上下関係が厳しくなりやすい。
④教育体系がない。昔から技術はいちいち教えられるものでなく、「見て盗め」という指導方法が多い。
昔、私が入ったころは実際にこうした環境でした。これでは若い人が入ってきてもなかなか定着しないでしょう。
十数年前ですが、同業の会社の社長と話していて、採用についてこういっていました。
「うちではついてこれない人間はやめてもらってかまわないと思っている。どんどん入れて、ついて来れるやつだけが残ればいい、という考え方で採用している」
昔はこれでよかったかもしれません。しかしこれだけ若年層が減少し、雇用すること自体が難しくなってしまうと、こんな考えでやっていたら、たちどころに行き詰まってしまいます。パワハラなどのハラスメントを防止し、働きやすい環境を作っていくことは、会社の維持と成長のために絶対に必要な切実な課題になっているのです。
当社でも昨年12月の安全大会、3月の安全会議を「パワハラの防止」をテーマにしました。安全大会では社会保険労務士を講師に迎えて、パワハラについての講習と、パワハラのグレーゾーンについてグループワークを行いました。安全会議では、より身近な現場での経験を出し合っての討議も行いました。こうした講習、討議を通じてパワハラの理解と防止のために何が必要か、理解が深まったと考えています。
ところで先日、突然東京の弁護士事務所から「身に覚えがあると思うが、御社の女性社員からセクハラでの訴えがあった。東京地方裁判所に告訴する予定だが、300万円を支払えば示談にしてもいい」という内容のFAXが送りつけられました。
「なんじゃこりゃ?」と思ってその弁護士事務所が実在するかネットで調べると、ありました。ありましたが「当職の名前をかたって金銭の支払いを要求する事案が起きているので注意してください」と記載がありました。
やっぱりね。新手の特殊詐欺のようです。
こういう手口を思いつくのも、さまざまな会社の中にはセクハラ、パワハラがあり、それが表ざたになることを心配しているところがあるからかもしれません。自分の言動が果たしてハラスメントに該当するか心配する方もいるでしょう。
しかし、ひとつひとつの言動を心配するより、お互いの立場や気持ちを尊重する、配慮する社風になっているのかどうかが問題です。仕事をしていれば、怒られたり、注意されたりするのは付き物です。それなしに技術、技能の向上はありません。ただ、そこに相手を尊重し、大事に思う気持ちがあればハラスメントにはならないと思います。
まずは、よく話をする、コミュニケーションをしっかりとることが何より大事ではないかと思います。そしてこのことは、社員の定着だけではなく、安全に作業を行う上でも極めて重要です。「パワハラ」を安全大会で取り上げたのはこのためです。
「良好なコミュニケーションが安全の基礎になる」ということについて次回述べます。